27.海のベルトコンベアってなに?

海の水がしょっぱいのは皆さんよくご存知だと思います。海水は塩分を含んでいますが、この塩分の濃さが海水の循環にも関係しているのです。塩分が濃いと密度が高く(=重く)なり、また塩分の濃さが同じでも水温が低ければ、密度が高く(=重く)なります。つまり、塩分が濃く水温が低い水は、深いところに沈みこもうとします。

実は、この沈みこみを出発点とする、大規模な海水の循環があるのです。出発点は北大西洋のノルウェー沖あたりで、ここで沈みこんだ海水は、数千メートルの深さで赤道を通り過ぎ、南極まで流れていきます。南極近くでも海水の沈みこみがあり、その沈みこみと合流した流れは、インド洋や太平洋まで流れ、海の上の方に浮上します。

海水がこの大循環を一周するのに、2 千年ほどの年月がかかるといわれています。この「海のベルトコンベア」が気候に与える影響はまだよくわかっていませんが、過去の大きな気候変動が、このベルトコンベアと関係しているという考えも提唱されています。