17. 地球外生命の探査機?

地球から打ち上げられ、太陽圏を飛び出した人工の探査機は、パイオニア10、11号、ボイジャー1、2号などがあります。では、太陽系の外から何か探査機の様なものが、太陽系内に飛来したことはあるのでしょうか?

遠方から太陽の近くまでやって来る天体としては、彗星が知られています。彗星の多くは、オールトの雲からやって来るとされています。地球から観測していると、その軌道は非常につぶれた楕円です。太陽系の外側からやって来る天体は、双曲線軌道を描いているはずです。稀に、双曲線軌道の彗星が発見されますが、これらは惑星の引力で一時的に加速されたものとされています。しかし、2017年にハワイ・ハレアカラ山頂のパンスターズ望遠鏡は、不思議な小天体を発見しました。発見された天体は、太陽系の外からやってきて水星の軌道の内側まで太陽に接近し、再び宇宙のかなたに飛び去る双曲線軌道でした。そのため、オウムアムア(ハワイ語で「遠方からの使者」)と名付けられました。

しかもこの天体は、長さ数100mの細長い針の様な形をしていました。そのうえ、太陽を離れる際不自然な加速が観測されたことから、オウムアムアはエイリアンが送り込んだ探査機かもしれない、という“まじめな”論文も出るなど話題となりました。

しかし、その後の研究によれば、オウムアムアは、彗星や太陽系外縁天体の様な起源・組成と考えて良さそうで、エイリアンの作ったものとは考えにくくなりました。パンスターズ望遠鏡は、地球に衝突する可能性のある危険な小惑星を発見することを主な目的とした広視野の望遠鏡で、2008年に観測を開始しています。これほど大規模な探索は、パンスターズ以前はなされていませんでしたので、オウムアムアの様な天体は、これまで見落とされていたのかもしれません。この様な天体は、これまでにも人知れずやってきていたのでしょうか?