37. 不釣り合いに大きな月はどうやってできた?

木星型や天王星型の惑星には、多くの衛星があります。これらの惑星の巨大衛星は、惑星の周りにガスと塵の円盤(周惑星円盤)ができて、その中から生まれたとされています。一方、地球型惑星では衛星は稀です。水星にも金星にも衛星はありません。火星には2つの小さな衛星がありますが、小惑星を捕獲したという説と、別の天体が衝突して火星から放出されたという2つの説があります。これらの説を検証するべく、日本が探査機を送って、サンプルを採取して調べることが計画されています。それに対して、地球には半径1,700kmくらい(地球の約27%)の巨大な月があります。惑星との半径の比では、2位のトリトン(海王星の5.5%)を大きく引き離して太陽系第1位です。巨大衛星である月は、どの様にして生まれたのでしょうか?

これまでの研究では、他の天体が地球に衝突して、地球とその天体の破片(衝突の際の熱で溶けた溶岩の様なもの)が地球の周りに放り上げられ、それが重力でくっついて月になったとする説が有力です。ばらばらに破砕されて宇宙に放り上げられた破片が、またくっついてしまうとは、ちょっと信じがたいことですが、実際にスーパーコンピューターによるシミュレーションも行われ、月の生成を再現することに成功しています。

月が生まれる際に衝突した天体は、小惑星などではなく、より大きな原始惑星(惑星の卵)だったと考えられます。この様な巨大な天体衝突は、太陽系誕生の直後には何度か起きていたと考えられています。太陽系の惑星の多くは、公転と同じ向きに自転していますが、天王星の自転軸は横向きになっており、金星は逆まわりになっています。こうした自転軸のずれや、逆回転も巨大な天体衝突によるものと考えられています。