45. 気候は安定?それとも暴走する?

生命の存在には、ある程度気候が安定している必要があると考えられます。気候が暴走すると、何百度もの灼熱の惑星になるかも知れませんし、完全に凍結した酷寒の惑星になるかもしれません。そうなっては、生命は危険にさらされます。惑星の気候は、多少の変動はあっても安定しているものでしょうか?それとも、暴走が起きる様な不安定なものなのでしょうか?

地球の様に、表面が多くの水で覆われている惑星は、気候の暴走が起こりやすいことが知られています。実は、水蒸気は最強の温暖化ガスと言われており、大気中の水蒸気が増えると惑星から逃げて行く熱を遮り、温暖化が進みます。そうすると、海水の蒸発が促進され、さらに大気中の水蒸気が増え、温暖化が加速されます。こうして温暖化は暴走し、ついには海水が沸騰して干上がってしまい、惑星は灼熱地獄と化してしまいます。金星が現在の様に灼熱の惑星になったのは、暴走温暖化のためだと考えられています。では、現在進行中の地球温暖化が続くと、地球も金星の様な状態になるのでしょうか?これまでの研究では、どうやら地球はぎりぎり暴走温暖化を免れそうです。

一方、水の存在は寒冷化の暴走も引き起こします。寒冷化して雪の量が増えると、惑星の表面が白くなって、主星からの光を良く反射する様になります。そのため、惑星が吸収する熱量が減り、ますます寒冷化します。こうして、寒冷化が暴走すると、惑星全体が氷で覆われる「全球凍結(スノーボール)」の状態になります。実は、地球ではこれまで何度か全球凍結が起きています。

水の量の少ない陸惑星の場合、気候は安定しているのでしょうか?