5. 惑星の交通事故?

人間社会では、毎日の様に交通事故がニュースになります。太陽の周りをまわっている惑星の世界では、衝突事故は起きるのでしょうか?

お行儀よくまわっている惑星同士は、互いに衝突することはありません。しかし、太陽系には惑星以外にも小惑星や彗星などの小天体が多数まわっています。これらは、惑星と違って大きくつぶれた楕円軌道のもの、軌道面が大きく傾いたもの、さらには逆行するものも見つかっています。そして、中には惑星の軌道と交差するものもあります。このため、こうした小天体が惑星に衝突する「事故」も、起きています。

1994年には、シューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突して大爆発が起こり、巨大な火柱が立ち上るのが遠く離れた地球からも観測されました。地球でも、6,600万年前にユカタン半島に小惑星が衝突しました。この「チクシュルーブ隕石」によって、カリブ海沿岸には高さ約300mの大津波が押し寄せ、世界中に飛び散った火の粉で地上の植生の多くが失われました。さらに、その後に起きた気候変動によって、恐竜が絶滅したとされています。最近では、2013年にロシア・チェリャビリンスクに隕石が落下しました。この隕石は、上空で大爆発を起こし、その衝撃で建物に多くの被害をもたらし、割れたガラスなどで多数の人が負傷しました。日本では、2018年9月に愛知県小牧市に隕石が落下し、民家の屋根を突き破りました。けが人が居なかったのは、不幸中の幸いでした。

こうした危険な小天体を事前に発見するための観測が、世界各国の天文台で行われています。将来は、あらかじめ小天体の軌道を変えることにより、衝突を避けることができる様になるかもしれません。太陽系も交通整理が必要ですね。