34. 惑星が引っ越す?

標準モデルは、うまく太陽系の惑星を説明できました。しかし、太陽系外惑星では、はなはだ具合の悪いことがわかりました。初期に発見された太陽系外惑星には、主星に極めて近接した巨大惑星(ホットジュピター)が多く含まれていました。なぜ、主星のすぐそばにこの様な惑星があるのでしょうか?太陽系には、この様な惑星はありません。標準モデルでは、この様な近距離では、水は水蒸気となるため、巨大惑星を作るのに十分な量の塵がないはずです。

そこで考え出されたのは、ホットジュピターは、外側の軌道で生まれ、それから主星の近くまで落下した、というものです。何か、こじつけみたいですね。惑星の軌道は、通常非常に安定しています。惑星同士の軌道が交差していて、大接近が起これば軌道は大きく変化しますが、通常はそんなことは起きません。しかし、まだ原始惑星系円盤が残っていた時代には、ガスと惑星の相互作用で惑星の軌道が大きく変化したと考えられています。木星型惑星は、巨大な氷の塊の原始惑星ができると、周りのガスを大量に吸い込みますが、その際に原始星の方へと引きずられるというわけです。実際に、スーパーコンピューターを使ったシミュレーションも行われ、今ではこうした「惑星の引っ越し」は、ほとんど常識となっています。そうすると、惑星系の今の姿が、そのまま生まれた時の状態を反映しているとは限らなくなります。

ところで、太陽系ではどうだったのでしょうか?ホットジュピターが無いのだから、惑星の引っ越しは無かった?