53. これが地球外生命の証拠だ!

ハビタブルゾーンの惑星には、もしかすると実際に液体の水や大気、固い岩石でできた地面があるかもしれません。しかし、これらはあくまで「状況証拠」にすぎません。実際に地球外生命が居ることを科学的に証明するには、直接生命の存在を証明する「物的証拠」が必要となります。一方、いくら生命誕生のシナリオに無理があっても、確証が得られれば地球外生命は客観的事実として受け入れるほかはなくなります。

これまで、科学者はどうすれば遠く離れた探査機から地球上に生物が居ることを証明できるか、などといったテストを行い、遠くから検出可能な生命の兆候を研究して来ました。その結果、いくつかの方法が見つかっています。例えば、植物の葉などに含まれる葉緑素は、赤外線では非常に明るく見えます(レッドエッジと呼ばれています)。また、地球大気に大量に含まれる酸素は、もともと地球大気にあったものではなく、光合成を行う植物によって生み出されたと考えられています。こうした、生物が居ることを示す情報はバイオマーカーと言われています。こうした兆候を捉えるには、何光年も離れた太陽系外惑星の光を主星から分離して観測し、分光などを行う必要があります。

現在、すばる望遠鏡の数倍の口径(30-40m)の望遠鏡(TMTやE-ELT)が建設され、観測を開始しようとしています。すばる望遠鏡と同程度の望遠鏡を宇宙に上げる計画もあります。主星の光を遮って、惑星からの光を分離する技術も様々なものが開発されつつあります。宇宙に、大きな折り畳み傘の様なものを打ち上げて、主星を覆い隠すスターシェード計画というものも予定されています。うまく行けば、今世紀前半にも地球外生命の存在が実証されるかもしれません。

SFやアニメの世界が、現実のものになってしまうのでしょうか?それとも、結局何も見つからず、地球は奇跡の惑星で、我々は広大なこの宇宙で孤独な存在、ということになってしまうのでしょうか?