40. 「惑星のゆりかご」の観測

惑星が今まさに生まれている現場、それが原始惑星系円盤です。この惑星のゆりかごを見れば、惑星誕生の謎に迫ることができるのではないでしょうか?主星である原始星は、分子雲と呼ばれるほとんど光を通さないガスの塊の中で、小さな塊が収縮して生まれます。原始星も原始惑星系円盤も、生まれた直後はまだ濃いガスの中にあって、可視光で見ることは困難です。しかも、原始惑星系円盤は地球から見ると非常に小さく、高分解能の装置を必要とします。

しかし、近年は観測技術の進歩により、原始惑星系円盤を直接見ることができる様になりました。南米チリのアルマ望遠鏡は、多数のアンテナを組み合わせた巨大な電波干渉計です。干渉計は、間隔をあけた複数のアンテナを組み合わせて巨大な一つの電波望遠鏡として高い角度分解能を得る技術です。この技術を使い、透過力の強い電波を利用して、多数の原始惑星系円盤を観測しています。

こうした観測から、原始惑星系円盤の構造は単純な円盤ではなく、多様性に富み、ダイナミックに変動している様子も見てとれます。今後さらに観測が進み、惑星形成の過程が明らかになって来ることが期待されます。

産声をあげる惑星の赤ちゃんたちの姿も、見える様になるでしょうか?