8. 太陽系ってオーケストラ?惑星たちの奏でるハーモニー

太陽系の天体は、太陽の引力を受けて太陽の周りをまわっています。その一方で、これらの天体は互いに引力を及ぼしあっています。この力は、通常太陽の引力に比べると非常に小さいですが、特定の条件を満たす場合や、非常に長い年月の間にこの影響が蓄積して大きな変化となる場合があります。

振り子や音叉など、周期的な振動をするものに、外から同じ周期または単純な整数比の振動を与えると、振幅が拡大する現象があります。共鳴(または共振)と呼ばれるこの現象は、たとえ外からの振動が小さなものでも、影響が蓄積して結果的に大きな影響を及ぼします。これと同様の現象が、太陽系の惑星や小天体の間でも生じます。小惑星の公転周期の分布を調べると、木星の公転周期と比べて1:2とか2:5の様な単純な整数比のところに、小惑星がほとんどないところがあることが知られています。これは、共鳴によって不安定となった小惑星が弾き飛ばされたからだと考えられています。

土星の環は、細かな粒子でできていますが、土星の衛星の公転周期と単純な整数比になる場所に隙間があることが知られています。これも、共鳴によるものと考えられています。一方、共鳴によって逆に軌道が安定化する例もあり、惑星と小惑星、あるいは惑星と惑星で公転周期が互いに単純な整数比になるものもあります。

さらに長期的には、惑星の軌道は互いに及ぼしあう引力によって、軌道面の回転や楕円軌道のつぶれ具合(離心率)の周期的な変化などが起きることが知られています。その振幅は、一定ではなく増減を繰り返していて、まるで音楽を奏でている様です。こうした軌道の長期変動は、惑星の気候変動の一因ともなっていると考えられています。