7. なぜ月は、地球に片側しか向けない?

月は地球をまわる衛星です。しかし、その自転周期と公転周期は、完全に一致しており、地球には片側しか見せません。もし、ちょっとでも自転周期と公転周期が違っていれば、だんだんと相対位置がずれて、いつかは“裏側”を見ることができるはずです。実際には、月の軌道が楕円であるために、公転に伴って月は微妙に首を振ります。しかし、決して裏側を地球に見せることはありません。なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?偶然にしては、できすぎですよね。

実は、これには潮汐力が関係していると考えられています。潮汐力には、自転を遅くする作用があります。例えば、地球の場合、月の潮汐作用で膨れ上がった海水の中を、地表が自転していることになり、海水と地面との摩擦で自転がだんだん遅くなっていることが知られています。そして、その反作用で、月はだんだんと遠ざかっています。数億年前には、月はもっと地球に近いところをまわっており、公転周期が短かったことがわかっています。

一方、月は、地球の潮汐力によって、地球の方向に膨れ上がったラグビーボールの様な楕円体の形をしています。そこに作用する潮汐力は、向きがずれるとそのずれを引き戻す方向に力が作用し、自転にブレーキをかけてしまいます。その結果、公転と一致するまで減速されたと考えられています。こうした、自転と公転の同期は、月以外でも木星の巨大衛星であるガリレオ衛星など、太陽系の多くの衛星でも起きています。