12. 梅雨前線って何?

日本などの東アジアの国では春から夏へ移り変わるときに「梅雨(ばいう、つゆ)」という雨の多い季節があります。この言葉は梅の実が実る時期の雨ということから名づけられました。そして、「梅雨が明ける」と夏がやってきます。梅雨明けのニュースはふつう南の沖縄から始まり北上して行きます。このようなことから、梅雨で雨が降っているところ(地域)が南からだんだん北へと進んでゆくことが想像できます。

さて、梅雨はどうして起こるのでしょうか?天気図を見たことがあれば、梅雨は停滞前線という記号で表されています。前線というからには、何かの境界です(例えば、桜前線は桜の開花が北上するときの先端部分をいいます。気象学で使われる寒冷前線や温暖前線は温度の異なる気団の境界を示しています)。梅雨前線は、気温の境界というよりは、水蒸気の境界という性格が強いことが知られています。梅雨前線の南ではすでに夏の大気ですから非常に多くの水蒸気を含んでいますが、北側では乾いてやや冷たい大気がありますので、その境界で雨が作られるのです。もう少し専門的にいいますと、夏に向かって太平洋高気圧(小笠原高気圧ともいいます)が発達する一方で、北側にはオホーツク高気圧があり、その境界が梅雨前線となっています。梅雨前線は大きなスケールでは、東アジアモンスーンを特徴づけるものです。梅雨の初期には、いわゆる「しとしと雨」が多いですが、梅雨末期には災害をもたらすような豪雨が発生することが多いので梅雨明け前は注意が必要です。