18. 人工降雨の原理

戦後まもなく米国で始まった科学的根拠に基づく人工降雨は、現在までに世界気象機関 (WMO)に報告されているだけでも約50ヶ国において、毎年100件以上のプロジェクトが実施されています。雨や雪は過冷却した雲の中に氷晶が発生し、それが成長してできる(冷たい雨)か、氷晶の存在しない雲では、大粒の雲粒がより小さな雲粒を捕捉することにより成長する(暖かい雨)かのいずれかです。十分な数の氷晶や大粒の雲粒を含まない雲からは、雨や雪は降りにくくなっています。降っても少量です。そのような雲の中にドライアイスやヨウ化銀を撒いて氷晶を発生させるか、微水滴やミクロンサイズの吸湿性粒子を撒いて大粒の雲粒を発生させれば人工的に雨や雪を降らすことができます。人工降雨に適した雲では、種まきにより、平均的には10~15%の増雨増雪の効果があると考えられていますが、自然の降水が時間的にも空間的にも大きく変動しているため統計的に人工降雨の効果を実証できない場合が多いのが、人工降雨の最大の問題点でした。しかし、最近の雲の数値モデルの目覚ましい発展によって、種まきをしたときとしないときの雲の振舞いを十分な精度で予測することが可能になってきたので、人工降雨の効果がより正確に評価されると期待されています。