56. 気象レーダーって何を測るの?

気象レーダーは「やまびこ」に似ています。山に向かって「ヤッホー」と叫ぶと少し遅れて山に跳ね返ってきた「ヤッホー」という声が聞こえてきます。同様に気象レーダーは電波を雨雲に向けて発射し、雨粒から返ってくる電波の発射からの時間と強さを測るものです。「やまびこ」と気象レーダーで異なることは、やまびこでは音波を使っているのに対して、レーダーでは電波を使っています。対象はレーダーでは雨ですので、奥行きのある観測ができます。雨粒のサイズはおよそ0.5~5mm程度ですので、それよりも長い波長(3~10cm程度)を用いることが多くなっています。気象レーダーでは、ドップラー効果を利用した風の計測もおこなえ、雨雲内での気流の様子を探ることもできます。また、大粒の雨は空気抵抗により扁平な形になるため、水平方向と垂直方向に振動する2種類の電波を用いることにより、雨量の正確な推定や降水粒子(雨、雪、など)の判別にも利用します。