第3章 光の彩り
34. 雲はなぜ白い? 空はなぜ青い?
太陽からの光が、直接、または物体に反射して目に達したときに、私たちは色を見ることができます。大気のない宇宙では太陽の光は白色に見え、それ以外の空間は反射するものがないため黒く見えます。白色に見えるということはすべての色がほぼ等しく重なっていることを意味します。これに対して地球は大気があるため、空気の小さな粒(分子)や雲粒子などによってさまざまな方向に反射します。その結果、空を見上げると私たちは青い空や白い雲を見ることができます。
私たちに見える光の波長(可視光)は、およそ0.4~0.7µm(1µmは1/1000mm)です。これに対して大気分子の大きさは可視光の波長の約1/1000です。このように可視光の波長に対して物体の大きさが非常に小さいとき、波長の短い光(青)がぶつかって散乱しやすく波長の長い光(赤)はぶつかりにくい性質(レイリー散乱)があります。太陽光のうち大気分子によって青い光が散乱された結果、空が青く見えます。太陽高度が低い朝や夕方は太陽光が通過する大気がより長くなります。その結果青い光がより多く散乱し、波長が長い黄色や赤色が私たちの目に到達するので朝日や夕日は赤っぽく見えます。
これに対して雲粒の半径は1~10µmで可視光とほぼ同じかそれよりも大きいです。このような場合には波長による散乱の強さははっきりしなくなりすべての色が散乱します(ミー散乱)。また雲粒子は高い密度で存在しているので散乱を繰り返します(多重散乱)。その結果すべての色の光がほぼ等しく重なるため、雲は白く見えます。雲粒や雨粒によって光は散乱だけではなく吸収もされます。そのため雲の下の方は光があまり届かなくなり灰色もしくは黒く見えます。