7. 大気が不安定になるのはなぜ?

食事のときに一緒に食べるお味噌汁を思い出してください。お椀についだお味噌汁を静かに置いておいて、しばらくすると味噌がわき上がったり沈み込んだりする様子がみられます。これは“対流”と呼ばれ、お味噌汁の上部が冷やされて重たくなったお汁が沈み込み、下の温かいお汁がわき上がることで起こります。このように対流が起こる状態を不安定とよび、大気中でも同じような運動が起こります。たとえば夏の暑い日、太陽によって地表面が暖められ、熱い地面に接した大気が暖められると、対流が発生します。これは大気の下層が不安定になるからです。ところがこのような不安定はすぐに解消されてしまうので、雷雨をもたらす発達した積乱雲を発生させるような不安定にはなりません。積乱雲が発生し雷雨となるためには、大気の下層に多量の水蒸気が流れ込むことが必要です。さらに上空に冷たい空気が流れ込むと不安定はいっそう大きくなります。水蒸気はいうまでもなく積乱雲や大雨のもととなる“水”ですが、それだけではなく水蒸気が雲になるときに多量の熱を発生して大気を暖める“熱”エネルギーでもあるのです。このため大気の下層に多量の水蒸気がある状態は、発達した積乱雲を発生させる熱エネルギーが多量に大気の下層にあることになります。このような状態を上記の不安定と区別して“対流不安定”とよび、雷雲の発生などの大気の不安定をもたらす最も大きな要因となります。