第4章 地球の気温

38. 熱はどうやって伝わる?

風邪を引いて具合が悪くなったとき、体温計で測ると熱が40℃もある。さあたいへん。大急ぎで病院に行かなければ。そんな経験は誰もがあるのではないでしょうか。しかしここで体温計で測ったのは、身体の“温度”であって熱ではありません。そもそも温度と熱は何が違うのでしょうか。少しの水を入れたお鍋と多量の水を入れたお鍋を火にかけたとき、どちらがはやく温まるでしょう? 同じだけ熱を加えても温度の上がり方は異なります。熱とはどれだけ加えたかを測ることができる“量”です。一方で温度とは加えた熱の量だけでは決まらない、温める物質の性質と量によって決まる“状態”を示すものです。熱が伝わるというのはその量が移動するということです。それでは熱は水や空気のような物質でしょうか? かつて熱とは熱素と呼ばれる物質で、それが移動することで熱が伝わると考えられていた時代がありました。しかし現代では熱が物質ではないことがわかっています。それでも熱が伝わるというのは、熱が移動するということです。その移動のしかたには様々なものがあります。温かいものと冷たいものをくっつけておくと、温かいものは冷えて冷たいものが温まります。これは温かいものから冷たいものへ熱が伝わったということで、“伝導”により熱が移動したといいます。お鍋を火にかけると下から温められた水がわき上がり、上の冷たい水が沈み込みます。このように水や空気が移動して熱を伝えることを“対流”と呼びます。太陽は地球から1億5千万kmの彼方にありますが、太陽の熱が地球に伝わります。このような伝わり方を“放射”といいます。このように熱の伝わり方には様々なものがあります。