57. フェーズドアレイ気象レーダーって何?

フェーズドアレイとは複数あるアンテナを配列して、位相(フェーズ)を合わせることにより、1つのアンテナとして用いる方式です。フェーズドアレイ気象レーダーでは、導波管(電波を伝える役割を持つ管)のアンテナを100本程度並べて用いるものやパッチ状のアンテナを平面的に並べて用いる方式もあります。フェーズドアレイ気象レーダーの特徴は、電子的にビームの向きを変えられることです。それぞれのアンテナの位相の調整により、好きな方向へビームを向けることができます。日本では、送信を幅の広いファン(扇)ビーム、受信を形状がシャープなペンシル(鉛筆)ビームとすることにより、高さ方向の観測を非常に短い時間でおこなえるようになり、例えば30秒で雨雲の立体構造を得ることができます。

フェーズドアレイ気象レーダーは、ゲリラ豪雨をもたらすような積乱雲の観測に適していると考えられています。また、同様のレーダーは人工衛星搭載のレーダー(熱帯降雨観測衛星:Tropical Rainfall Measuring Mission=TRMMや全休降水観測計画:Global Precipitation Measurement=GPM搭載の降水レーダー)にも用いられています。