37. 雷の電気はどこでできるの?
雷は雲の中で正の電荷(電気)と負の電荷(電気)が蓄えられ、蓄積した電荷を中和するための放電現象として発生します。これらの電荷の担い手というのは、主に霰と氷晶の粒子だと考えられており、もともと電気的に中性な霰や氷晶の電荷が、どのようにして正や負に分離するのかについては複数の説が存在します。現在、最も有力なのは着氷電荷分離機構(Takahashi, 1978*)といわれています。その説によると、積乱雲を形成する粒子は上昇流や下降流、自身の重さによって鉛直方向に大きく移動し、霰と氷晶が衝突すると電気的分離が起こります。どちらか一方が正、他方が負に帯電するのですが、それぞれどちらの粒子が正と負の電荷を獲得するのかは、衝突した時の周囲の環境に依存します。一般的な環境では気温-10℃より高温で霰が正、低温で負となり氷晶はその逆になります。そして、大きくて重い霰は下層に、小さくて軽い氷晶は上層に、雷雲内で鉛直方向に振り分けられ、それぞれに強い電荷領域を形成します。雷雲内の電荷分布は、下層から正・負・正の三極構造が観測されることが多いですが、それ以外の多重極構造などが観測されることもあります。