55. 人工衛星からどうやって雨を測るの?
地球全体の降水量を知ることは、地球全体の大気や熱の流れを理解するため重要です。地上観測では、人口が少ない地域や海上での観測が少ないため正確な雨量分布を作ることはできません。そこで人工衛星の登場です。人工衛星から雨を測る方法としては、3つの方法が考えられます。1つめは、レーダーを使って測ることです。レーダーはパルス状の電波を雨に向かって放射し、雨から返ってくる微弱の電波の時刻と強度を測ることにより、降水強度の高さ分布を知るものです。2つめは、マイクロ波放射計といわれるセンサーです。マイクロ波放射計は、赤外線と同様に物質がその温度に応じて放射する電波の強さを測るものです。マイクロ波は赤外と異なり、雲の表面だけなく雲内部、さらには地表面からの電波も観測されるので、マイクロ波放射計の観測データから降水情報を取り出すことが可能になります。ただし、これはレーダーと異なり、高さ分布の情報を与えるものではありませんので、降水量を推定するためには工夫する必要があります。3つめは、赤外線を使うことです。赤外観測の情報では雲の高さ(表面の冷たさ)の情報を得ることはできますが、内部の雨の強さの情報を得ることは難しく、経験的に雲の高さと降水強度の関係を求めるといった方法が考えられます。