第5章 地球をめぐる風

44. 低気圧や高気圧はどんな天気をもたらす?

地球の気圧(簡単にいえば、その地点での大気総重量)は、一様ではなく、ムラがあります。気圧の低い所(低気圧)は、北半球では、半時計回りの循環(大気の流れ)および上昇流を伴います。上昇流は、地上付近の湿潤な空気を上空へ持ち上げ、雨や雪の形成を促します。また、低気圧の中心付近では強風が生じやすいです。そのため、低気圧は悪天候をもたらします。ニュースで耳にするように、台風や急速に発達する温帯低気圧(爆弾低気圧)等の低気圧は、日本の気象災害の発生原因となります。

一方、周囲よりも気圧が高くなる現象を高気圧と呼びます。高気圧は下降流を伴うため、降水の発生を抑制します。高気圧は時計回りの循環を伴いますが、強風はもたらしません。そのため、高気圧の下では、穏やかな晴天となります。しかしながら、高気圧も日本の悪天候へ影響することがあります。例えば、梅雨期に、日本の南の海上に存在する太平洋高気圧が非常に発達すると、その西縁では熱帯域から梅雨前線へ向かう湿潤な空気の流れが強まります。これが梅雨期の日本における豪雨の発生の一因となることがあります。