27. 最も強い台風って?
台風が近づくと各テレビ局は、その実況中継をします。そのとき台風の暴風のすごさを伝えようと、「ハリケーンのような台風の暴風です」のようにいうことがあります。これは台風よりハリケーンのほうがより強いという印象があるからだと思いますが、実は最も強い台風はハリケーンよりも強いのです。さらにいえば台風は地球上に発生する、ハリケーンやサイクロンなどの熱帯低気圧のなかで、最も強い熱帯低気圧なのです。これまで記録が残っている台風で最も低い中心気圧を記録したのは、1979年10月に発生した台風ティップ(TIP)、第20号です。ティップは12日の15時に中心気圧870ヘクトパスカルという信じがたいほど低い気圧を記録しています。このときの最大地上風速は約72m毎秒でした。まさに地球上最強のスーパー台風です。中心気圧が870ヘクトパスカルということは、台風の中心では地上から高度1300mまでの空気を取り去ったことになります。ティップは10月9日の中心気圧が990ヘクトパスカルだったので、わずか3日ほどで120ヘクトパスカルも気圧が低下したことになります。このような急速に発達する台風がスーパー台風になります。台風ティップはその後10月19日に和歌山県白浜町付近に上陸し本州を縦断しました。これにより115人の犠牲者がでました。