58. ラジオゾンデって何を観測するもの?

地球の大気がどのように流れ、変動するのかは、物理法則によって決まります。その法則には運動に関するもの、エネルギーに関するもの、そして水蒸気に関するものがあります。地球の大気はこれらの法則を解くことによって、ある時刻の大気の状態を知ることができるだけではなく、未来の大気の状態を予測することができます。すなわち天気予報ができるのです。地球全体ぐらいの大きさで考えると、これらの物理法則を解いて天気予報をするためには、気温、気圧、湿度、風向・風速の地球全体での分布を知る必要があります。

これらの量を地表から高度30kmぐらいの高さまで測定するのがラジオゾンデという観測装置です。日常の生活に関わる天気、すなわち気温や気圧の変化、雨や雲の発生という現象は地面からおよそ高度15kmの範囲で起こっていますので、このぐらいの高さまで測れば天気予報に十分なデータを得ることができます。最近のラジオゾンデは、気温と湿度を測るセンサーを搭載し、GPSを用いて高度と位置を測定します。この高度と気温および湿度から気圧を計算することができ、上記の気温、気圧、湿度、風向・風速を知ることができます。このような観測を日本だけでなく、世界中の多数の地点で一斉におこない、そのデータをリアルタイムで世界中の気象機関に送信することで、天気予報を出すことができるのです。