45. コリオリの力(ちから)とは?

野球選手が投げるボールでも、地球表面を流れる空気でも力が加わらなければ、それを静止している人が見ると、同じ速度でまっすぐ進みます。ところが、それを見ている人が回転している円盤に乗っていると、ボールの進む方向や空気の流れの方向は時間とともに変わっていきます。もし円盤に乗っている人が自分が回転していることを知らなければ、ボールや空気の運動の方向が変わるのは、あたかもそれらに方向を変える力が加わっているかのように見えるのです。もちろんそれは実際に加えられた力ではなく、みかけ上、力が働くように見えるということです。コリオリの力も同様に地球が自転しているために生じるみかけの力で、地球上を移動する全ての物体に働きます。それは物体の進行方向を変化させるので、転向力とも呼ばれます。コリオリの力がみかけの力だからといって、大気の運動において重要でないということではありません。北半球では空気の進行方向に右向きのコリオリの力が常に加わっており、進行方向に対して右に曲がるように運動します。一方、南半球では左向きのコリオリの力が加わり、進行方向に対して左に曲がります。地球の回転は人間の五感で直接感じることができないので、コリオリの力を五感で直接感じることはできません。コリオリの力は大気や海洋の大きな流れに表れます。北半球で低気圧が反時計回りの渦となり、南半球では時計回りの渦になるのはコリオリの力の影響です。