24. 台風の中心はなぜ気圧が低い?

地上の気圧というのは、地上から大気上端までの空気の総質量によってもたらされます。たとえば1000ヘクトパスカルの地上気圧は、1m2あたりの地面の上に約10トンの空気が乗っていることになります。高気圧が移動してきて、地上気圧が1030ヘクトパスカルになったとすると、頭の上に1m2あたり300kgの空気が増えたことになります。そんな重たいものが頭の上に乗るといわれると、なんだか押しつぶされそうな気がしますが、そのようなことはないのでご安心ください。さて、空気は暖められると軽くなります。地上の上に暖かい空気、すなわち軽い空気が多いほど、その総質量は小さくなり、地上の気圧が低くなります。台風の中心にある眼のなかは、高度数kmから上空数10kmまで暖かい空気が形成されます。これを「暖気核」といいます。つまり眼のなかは軽い空気ででてきています。実際、私たちが飛行機で台風の眼の中に入ったとき、気温が10℃以上上昇することを経験しました。台風の気圧が低いのは、中心に暖気核があるからです。そしてこの暖気核が発達すればするほど、台風の中心気圧は低くなり強い台風となります。