3. どうして雲は浮かんでいられる?

「それでも地球は動いている」といった中世イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイは、トスカーナ州にあるピサ市の斜塔から重いものと軽いものを落として、落下は物体の重さによらないという落体の法則を発見しました。それが正しいとすると、雲を作る微小な水滴は、鉄でできたパチンコ玉と同じ速さで落下しなければならず、雲は浮かんでいられないはずです。物理法則は万物に適用されますので、雲粒も例外ではありません。しかし実際空を見上げると、雲は浮かんでいるように見えます。「雲が空に浮かんでいる。」これは正しいともいえますし、間違っているともいえます。水は水蒸気という気体の状態では軽くて浮かび上がろうとする性質があります。それが雲粒という水滴になった途端に落下を始めます。しかしその大きさは0.01mmぐらいと小さいので、空気の抵抗を受けて速く落下することができません。ガリレオの落体の法則はこの空気抵抗を無視したときにはじめて成り立つので、空気抵抗が大きく作用する雲粒については、小さいほどゆっくり落下します。さらに雲の中は上昇気流があって、それによって持ち上げられてしまいます。その上昇気流に打ち勝ってはじめて雲粒は落下することができるのです。その意味で雲は浮かんでいるわけではありません。空に浮かんでいる積雲を見ると雲の底が平らになっています。これは上昇気流で持ち上げられた水蒸気がその高さで雲粒になるからです。この高さを雲底といいます。一方、落下してきた雲粒は、雲底の下に達すると、周りの空気が乾いているので蒸発してしまいます。その結果、雲底の下に雲が延びることができません。この雲底での雲粒での生成消滅の結果、雲底は同じ高さにとどまり続けます。すなわち、その意味で雲は浮かんでいるのです。