地球大気の底に暮らしている私たちは、その変動から大きな影響を受けます。この大気の変動や、そのなかで起こる現象のことを「気象」といいます。気象には、雲や雨のように身近で直接見たり感じたりできるものもあれば、目に見えない小さなエアロゾルや、太平洋をまたぐ大きなエルニーニョ現象のように特別な装置を用いて観測をしなければ分からないものまであります。また人知れず高い空の上を吹いているジェット気流や美しい虹や彩雲(さいうん)もあれば、豪雨や台風のように人の命や財産を奪う危険なものもあります。気象がおもしろいのは、これらの現象それぞれに固有のからくりがあり、たとえば、雨が降ること一つをとっても、実に不思議で巧妙な自然のメカニズムが、いくつもはたらいているからです。このように、気象は身近である一方、そこには深遠な不思議が隠された世界があります。 そのようなさまざまな気象について、ほんの50+10項目ですが、その「なぜ」を最先端の研究者たちが分かりやすく解説したのがこの『気象50のなぜ+10』です。それぞれのお話は1項目1ページです。内容の難しさは「竜巻マーク」で分かるようにしてあります。お好きなページを開いて「気象」の世界をのぞいてみてください。「おもしろい!」「もっと知りたい!」と思っていただければ、それは私たちの望外の喜びです。