9. エアロゾルって何?

大気中に浮遊している大きさが0.001~100µm程度の固体や液体の微粒子をエアロゾル粒子と呼び、比較的安定して空気中に浮遊し存在している状態をエアロゾルといいます。(ただし、雲を構成する液体の水や氷からできている微粒子は含みません)。成因別に見ると,海水の飛沫からできる海塩粒子や、地面から巻き上げられた土壌粒子、大気中の微量気体の化学反応や光化学反応によって生成される硫酸アンモニウム粒子、硫酸粒子、硝酸ナトリウム粒子などがあります。その個数濃度は一般的に海洋上で1cm3当たり数100個程度、都市域で数10万個程度です。個数濃度が高くなると光がエアロゾル粒子により散乱されるため遠くが霞んで見えるようになります。空気塊が上昇気流で持ち上げられ雲を作るとき、エアロゾル粒子の一部は核(雲凝結核)となって雲を構成する微水滴の生成を助けます。大気中にエアロゾルが存在しない場合には、雲が生成するのに300~400%の高い相対湿度が必要ですが、実際には比較的高濃度のエアロゾルが存在するので相対湿度100%を超えるとすぐに雲が生成します。雲の中の気温が-5℃を下回ると、水に融けないエアロゾル粒子が核(氷晶核)として働き、徐々に氷粒子が生成されます。

撮影:気象研究所 財前祐二 博士