50. 惑星波とは?

池の表面を彩るさざ波のごとく、地球大気中にも大小さまざまな目に見えぬ波が行き交っています。中でも最も巨大な波はさしわたし数千kmにおよび、上空の偏西風帯に沿って地球の周りをぐるりと取り囲むことから惑星波と呼ばれます。惑星波としてとりわけ重要なものに、スウェーデン出身の気象学者カール=グスタフ・ロスビーが見出したロスビー波と呼ばれる現象があります。ロスビー波は偏西風の蛇行のふるまいに深く関係し、偏西風に逆らうように西へ伝わろうとする性質をもつため、時として蛇行パターンが同じ場所に居座り続けることがあります。その結果、高気圧や低気圧が一定期間のあいだ閉じ込められてしまうブロッキング現象が起こり、寒波や熱波が持続したり多雨や干ばつを誘発するなど、さまざまな異常気象の原因となります。