51. マッデン・ジュリアン(Madden-Julian)振動とは?

強烈な陽射しを遮るように突然入道雲がそびえ立ち大雨が降りだす、それが熱帯の気象のイメージでしょうか。しかし一見予測不能な南国の雨にも、実は壮大な秩序が隠されています。1970年代、二人のアメリカ人気象学者が熱帯の風や雨量データを解析したところ、二か月近くに及ぶゆったりした周期で巨大な雨雲の集団がインド洋から太平洋へ繰り返し移動する奇妙な現象を見出しました。今では発見者の名を取ってマッデン・ジュリアン振動と呼ばれ、熱帯の天候のみならず赤道付近の大気の流れに大規模な乱れをもたらすことが知られています。しかし雨雲の群れが周期的に東へ向かうしくみは未だ完全には解明されておらず、今でも熱帯気象学における最大の研究テーマの1つです。時に台風の発生に深く関わると考えられており、日本に住む私たちにとっても無関係ではありません。