32. 地球温暖化とともに台風はどうなる?

毎年のように地球の平均気温の記録が更新されており、地球の表面が暖かくなる地球温暖化が進んでいることは明らかです。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も地球温暖化は明白であると、非常に強い表現で述べています。地球温暖化では気温が上昇するだけでなく、海の温度も上昇することがもう1つの大きな問題です。台風が発生する西太平洋の温度も上昇します。実際、気象庁の示すデータでは日本周辺の海面水温がこの100年で1度ほど上昇していることを示しています。台風はそのエネルギーのほとんどすべてを海から水蒸気という形で得ています。海の温度が上昇するとより多くの水蒸気が台風に与えられることになり、その結果、台風の強度はより強いものになります。すなわち地球温暖化が進むとそれだけ、台風の強度は強くなります。ただし、すべての台風が強くなるわけではありません。強い台風はより強くなりますが、弱い熱帯低気圧は台風になれなくなります。その結果、台風の最大強度はより大きくなりますが、台風の総数は温暖化とともに減少すると考えられています。さらに海面水温が上昇することで、スーパー台風などの台風がその勢力を維持して日本に接近する可能性があります。21世紀の後半にかけて、日本などの中緯度の地域における台風の災害はより激甚なものになるかもしれません。