31. 台風でなぜ高潮が発生するの?
台風の中心付近は気圧が低いので、そのぶん海面が高くなろうとします。これは「吸い上げ効果」とよばれます。たとえば台風の中心がやってきて、中心気圧が1000ヘクトパスカルから950ヘクトパスカルになったとすると、君の頭の上で1m2あたり空気が500kgほど減少したことになります。海の水はその分を補おうとして盛り上がるのですが、その重さを海水にすると1m2あたり50cmになります。つまり吸い上げ効果だけで海面は50cm高くなります。気圧が1ヘクトパスカル下がると、海面は1cm上昇するといえば覚えやすくなります。この吸い上げ効果に加えて、台風の暴風雨で海水が海岸部に吹き寄せられることで海面が上昇します。これを「吹き寄せ効果」といいます。実際には吹き寄せ効果のほうが吸い上げ効果よりも大きく海面を上昇させます。1959年の伊勢湾台風では高潮が大きな災害をもたらしました。この高潮は観測史上最も高いもので、3.9mといわれています。ただし、これは東京湾の平均潮位を基準にしたもので、高潮が起こった名古屋港の基準水面から計ると、このときの高潮は5.3mとなります。これは2階建ての家の屋根に達するほどの高さでした。